
イベントマーケティングを成果に繋げる「S.I.I.C.K」戦略とは?
ウェビナーやカンファレンスを活用したイベントマーケティングは、リード獲得やブランディングに欠かせないマーケティング施策となりました。
一方で、イベントマーケティングのKPIとしてリード数だけに注力してきた結果、事業貢献度が低い施策になってしまったという声も多いのが実態です。
数多くのBtoBイベントの主催とプロデュースをおこなう当社では、イベントを“成果につながる施策”へと進化させるための独自フレームワーク「S.I.I.C.K」を開発・提唱しています。
本記事では、S.I.I.C.Kフレームワークの概要や活用ポイントを分かりやすく解説。
イベントマーケティングを“単なる集客施策”から“商談創出の起点”へと変えるための具体的なヒントをご紹介します。
なぜ、事業成果につながらないのか?
近年のイベント施策の広がりに比例して、以下のような課題を抱えるBtoB企業が増えています。
課題1:有効リードが少ない
集客鉄板ネタや有名登壇者に依存する企画。
集客はできるが、エンタープライズ企業や決裁者など有効リードが獲得できない。
課題2:商談に繋がらない
イベントと営業で連動していないコミュニケーション。
獲得したリードに一貫した体験を提供できていない。
課題3:差別化ができない
コンセプトやターゲット設定が曖昧。
自社の独自性が伝わらない凡庸的なイベントになってしまっている。
これらはイベントマーケティング特有の構造的な問題に起因しています。
こうした課題を解決すべく、当社の300を超えるイベントマーケティング支援実績と毎月の自社カンファレンス主催経験から独自に開発したのが「S.I.I.C.K」というフレームワーク です。
「S.I.I.C.K」フレームワークとは?
S.I.I.C.Kとは、イベントマーケティングのコンセプト開発からコンテンツ設計、集客、営業連携に至るまでを一直線に繋ぐための設計図です。
以下の5つのステップに沿ってイベント設計をおこなうことで、自社のマーケティング戦略と顧客体験を合致させ、適切なコンテンツに落とし込むことができるようになります。
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それぞれを順を追って見ていきましょう。
Segment(セグメント):
狙うべきターゲットの属性を明確にする
まずはどの層にアプローチすべきかを具体的に定義しましょう。
業種、企業規模、役職、 導入フェーズ、受注率、商談期間、マーケットサイズ、競合の戦略、自社のケイパビリティ。
これらを掛け合わせ、自社が最も注力すべきセグメントを絞り込みます。
戦略影響度から軸を決めてセグメントを分ける
事業視点でセグメントの優先度を決定
セグメントを言語化してターゲットの共通認識化
Point: |
Insight(インサイト):
ターゲットの本音を深掘りする
次に、ターゲットが抱える課題や不安、興味・関心事を深掘りします。
- フィールドセールスやCS担当者にヒアリングする
営業の商談録画を見る
- オフライン交流会や商談同席で直接ヒアリングをする
顧客解像度を高めることで、ターゲットに刺さる企画に繋がります。
Point: |
Image(イメージ):
自社がどう認知してもらいたいか
ターゲットに対する「印象=自社の価値」を明確に定義するステップです。
- 顧客ニーズ、市場環境、自社の強み/戦略を整理する
自社が想起されたい(勝てる・求められる) イメージを言語化する
Before/Afterで考えて差分を理解する
BtoBでは導入メリットや裏付けとなる成功事例も重要になります。
イメージと実際の提供価値との整合性を取ることも大切です。
Point: 顧客ニーズ、市場環境、自社の強み/戦略とイメージの紐付けを意識する。 |
Core Message(コアメッセージ):
イメージを端的に伝える表現を研ぎ澄ます
イメージを伝えるための「原液」をつくるステップです。
- インサイトを踏まえてイメージが想起されるキーワードを考える
- ターゲットの頭の中にすでにある言葉に置き換えて言語化する
シンプルでインパクトある表現にまとめる
論理性だけでなく感情面(共感性や鼓舞性など)も意識してメッセージに落とし込むことで、イベント全体を貫く強力な軸が生まれます。
Point: 自社が想起してほしいイメージを「顧客の頭の中にすでにあるキーワード一言」に置き換えて言語化する。 |
Keyword(キーワード):
コアメッセージをコンテンツでアウトプットする際の軸に変換
最後に、コアメッセージを具体的なコンテンツにするためのキーワードを洗い出します。
業界誌やSNSなどでホットワードをリサーチ
考えうるキーワードを網羅的に洗い出す
キーワードからコアメッセージを想起できるかも再確認
ターゲットの興味とコアメッセージとの関連性を意識したキーワード設計を行うことで一貫性のある設計がしやすくなります。
Point: マーケターだけでなく、セールス/CS/決裁者の視点からも洗い出す。 |
活用方法:S.I.I.C.Kをどう活かすか
企画、キャスティング、制作、集客、営業と多くのステークホルダーが関わるイベントマーケティング。
全員が同じ戦略を共有するのが難しいという特徴があります。
そこで、S.I.I.C.Kのような共通指針を設定することで、イベント前、中、後それぞれのフェーズにおける顧客体験の隅々にまで戦略を反映できるようになります。
さらに、プロジェクト全体のゴールを揃えることができるため、プロジェクトに自律性が生まれます。
S.I.I.C.K導入のメリット
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さらに、3C分析やSWOT分析、STP分析など他のマーケティングフレームワークとの相性も良く、イベントマーケティングを事業戦略に組み込むうえでも活用しやすいのが特徴です。
成功事例:CPA900円台、商談化率19%を実現!
過去、当社においてもイベントからの商談化率は10%前後といわゆる業界平均を推移していました。
当時は、「S.I.I.C.K」 のような共通指針がないままに運営と集客と営業が各々の最適化に向けて動いていました。
「何のためのイベントで、誰をどのように集めて、何をどのように伝えて、どうなってもらうのか」という戦略骨子がチームへ浸透しておらず、戦略とアクションをすべてのフェーズにおいて一致させる、ということが難しい状況でした。
毎月多くのイベントを手掛け、より事業成果につながるイベントに向けた改善を重ねる中で磨き込まれていった一つの答えが、今回ご紹介し「S.I.I.C.K」というフレームワークになっています。
このコンセプト開発フレームワーク「S.I.I.C.K」と、同じく当社独自のコンテンツ企画フレームワーク「4×4 elements」を用いて設計・運用したことで、圧倒的な成果を上げることができた弊社主催のカンファレンス事例をご紹介します。
S.I.I.C.Kで企画した自社カンファレンス
上記は簡易的な例ですが、このようにターゲットセグメントからコンテンツの核となるキーワードまでを一貫して示すことで、顧客体験を支える明確な軸を形成できます。
結果
申込者数:約1,829名 |
まとめ:S.I.I.C.Kでイベントを“単発の集客”から“商談創出の起点”へ
繰り返しになりますが、BtoBイベントで確かな事業成果を生み出すには、戦略からコンセプト、コンテンツ設計までの一貫性を徹底することが大切です。
「S.I.I.C.Kフレームワーク」は、Segmentで狙う層を定義し、Insightでターゲットの本音を把握、Imageで自社が提供する価値を明確に描き、Core Messageでイベント全体を貫く短いフレーズを設定し、最後にKeywordで具体的なテーマや訴求軸を洗い出していく手法です。
この流れを押さえるだけで、プロジェクトに関わる全員が同じ目標と戦略を共有でき、イベントが“単なる集客目的”から“商談創出のための重要施策”へと進化していきます。
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是非、お気軽にご参加くださいませ。